著作権法改定(第113条第5項関係)に国民の総合的な視点を反映した慎重な審議を求める声明

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ミュージック・ペンクラブ・ジャパンから、声明が発表されました。ここに転載します。

著作権法改定(第113条第5項関係)に国民の総合的な視点を反映した慎重な審議を求める声明

ミュージック・ペンクラブ・ジャパン 会長 石田一志

2004年5月

当初から全国消費者団体連絡会や弁護士会が反対していた著作権法改定案を提出するにあたって文化庁は、著作権者および著作隣接権者の保護の観点から、アジアからの低価格の逆輸入盤を規制するための法案と説明してきました。しかし参議院の審議の過程で、規制されうる海外盤の範囲は、アジアからの逆輸入盤(約68万枚)にかぎらず、すべての海外盤(約6000万枚)であることが明らかになりました。しかもその適用基準は「(著作権者や著作隣接権者が)得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合」ときわめてあいまいです。文化庁は運用に問題があったときは裁判で争えばいいと言っていますが、生きた音楽に長い時間のかかる訴訟はなじみません。

参議院の審議会において日本レコード協会会長は「洋楽海外盤の輸入を規制するつもりはない」と発言しました。しかしその前に日本レコード協会大手5社の親会社を含む著作権権利者の団体である全米レコード協会RIAAと世界レコード産業連盟IFPIは、逆輸入盤と洋楽海外盤とを問わず、並行輸入を禁止できる権利を認めるようにという、日本レコード協会と一致しない意見書を文化庁に提出しています。

再販制度に加えて、レコード会社などにこの新たな権利を認めることは、二重の保護措置として、消費者に不当な不利益を強いることになりかねません。これは自由貿易の原則や市場の健全な競争の原則にも反します。過剰な保護で高価格を維持しても、音楽以外のエンタテインメントに対抗できなければ、ほんらいの市場活性化は望めません。

また、文化庁は曲が同じであれば、CCCD、CD、アナログ12インチが区別なく規制されると説明していますが、それは仕様のちがいのある各国盤の存在がポピュラー音楽学会の研究テーマや評論活動の対象やDJ活動の必需品として定着し、愛好者による売上増につながっている現状を無視したものです。

ゆとりのある社会を築くためには、音楽文化の多様性や音楽情報の公開が欠かせません。そういう社会が次代の創作活動を支え、アーティストにもレコード会社にも消費者にも実りをもたらすのです。いまの日本はCDなどに関して世界で最も音楽情報に恵まれていると言われていますが、その素晴らしい環境を築いてきた先人の努力を無駄にしないためにも、日本の音楽文化を、さらには世界の音楽文化をますます豊かなものにするためにも、ミュージック・ペンクラブ・ジャパンは今回の法案のよりいっそうの慎重な審議を求めます。

公開:2004-05-26 更新:2004-05-26