なぜJornada680では駄目なのか

[1999/07/18]
HP200LXの生産中止に当たってはJornada680の発表が関係しています。
HP社はJornada680発表によりHP200LXのユーザーは移行できる、これにのりかえることによりユーザーははるかに高いメリットを享受できる、としています。
しかし、私を含めてFHPPCの会員の多くからは「まったく理解できない」「それは無理だ」「後継機種とはいえない」などの趣旨の発言が出ています。
他の会員の方々の発言をここで取り上げる(転載する)ことは困難ですのでそれはFHPPC会議室を直接みていただくとして、私の意見をここに述べたいと思います。
なお、既にJornada680に満足し、HP200LXから移行されている人もおります。WindowsCEマシンの中では売れ行きも良く、バランスも優れたもののひとつであることは間違いはありません。決してその存在を完全否定するものではありません。
しかし、HP200LXの後継機種としては認めがたいというのがその趣旨です。
ただ、反対するだけではなく、どうすれば移れるのか、現在何が問題なのかを把握するべきでもあります。

外観

まず、HP200LXとJornada680のスペックなどの詳細についてはHP社のデータをご参照下さい

重量

HP200LX・・・312g
Jornada680・・・510g
200g弱の重量差があります。経験上、胸ポケットに入る限界が200g程度、上着やズボンのポケットにはいる限界が300gであると私は感じます。HP200LXでほぼ限界なのです。これを超えた場合には「ウェストポーチ」やかばんに入れざるを得なくなります。
もともとそういう使い方をしているひとなら良いのですが、私などはポケットに無造作に放り込み必要なときに瞬時に取り出すことがメモとして必須と考えています。
私にとってはほぼ腕時計と同じ感覚でありわざわざ時計をかばんから取り出して時間を見る人はほとんどいないでしょう、と同じ理屈なのです。
機能としては腕時計も置き時計も同じですが、では腕時計が生産中止とされ、より色々な機能がある置き時計を持ち歩いて下さいといわれたらいかがでしょうか?
私にとってはその感覚にほぼ等しいのです。
人によっては時計そのものを持ち歩かなくなるでしょう。
この200gという重量差は単に重くなる、という重量スペックの問題ではなく使う機会が大幅に減少するということを招くのです。

大きさ

実際に比較した所では幅がJornada680の方が大きくあとはひとまわり大きいというところです。これはキーボードの差を考えれば納得できる範囲でしょうか。
ただ、これもポケットにはいりずらくなります。鞄やポーチにその保管場所が移るでしょう。

堅牢さについて

Jornada680はみたところ精密につくられている、という印象を受けます。200LXが無骨ながら少々ひっぱたいても壊れそうもないという印象とは大違いです。
私はがさつなのでとりあえずかばんに放り込むなりしたいのですがJornadaではなにかソフトケースにいれてから、でないと危険なような感じを受けます。
また200LXは何度も落としたりしていますが壊れずにいてくれています。Jornadaではそうともいかない感じがします。するとどこでもとりだすという行為に関して自然と自制が効いてしまいます。無意識の中で「まぁ、落としても大丈夫だわ」というのがあり、歩きながらなんのきなしに鞄からとりだしたりします。
それができなくなるのは残念です。
本来精密機械なのだから丁寧に扱うのが当たり前、という話もあるのですが、私は200LXではそういう感覚はないのです。
それでも200LXは壊れないのですから。

電池について

Jornada680・・Lithium-ion充電池・7時間
200LX・・単三電池2本・不明
カタログでは不明となっていますがこれは電池の性能によって大きく左右されるからです。1500mAHのNiMH充電池を使っているとおおよそ22時間が私の平均値です。アルカリなら30時間は優に超えます。
まぁ、7時間あればちょっとした外出ならば十分でしょう。
しかしそうでない外出の時は充電用のACアダプタを持つ必要があります。
200LXでは単三電池を一組か二組もっていけば優に一週間は持ってしまうでしょう。例えなくなっても適当な所で単三電池を買えばいいのです。
どちらが気楽でしょうか。
まぁ、これも致命的ではありません。
きっと慣れでなんとかなる範囲でしょう。

ソフトウェア検証

HP-CALCがない。

200LXが便利なのはその電卓としての機能です。
私は計算能力が弱いくせに数値にしてデータとして捉えたがるので電卓は必須なのです。
中でもSolver機能は頻繁に使っています。
簡単に説明すると例えば
1/R=1/R1+1/R2
という関係があったとします。
ここでR=33、R1=50ならばR2はいくつでしょう?というときにすごく重宝するのです。通常ならばこの数式をR2について解いてR2=1/(1/R−1/R1)としこれに上の計算式をいれて電卓で叩くでしょうか?
ところがSolverなら1/R=・・の式をそのまま登録します。するとRにF2、R1にF3、R2にF4(F2〜F4はファンクションキーです)が自動的に割り当てられます。次に100・F2・200・F3とキーを押してF4をぽんと押せば97.06と結果が表示されます。まぁ、こんな簡単な式ならいいんですが、もっと複雑で三角関数やべき乗がはいってきたら誰だって嫌になるでしょう。でもSolverは解いて答えを出してくれるのです。
ほかにも単位換算機能、通貨や度量衡変換も一発変換できます。通貨は勿論レートが変わったら必要な都度、修正できますし登録されていない通貨も登録できます。
こんな便利なツールをいれてくれないのです。
私が200LXを使いつづけたい理由の筆頭はこれにあります。

カスタマイズ可能な電話帳がない

お仕着せのフォーマットの電話帳であなたは満足できますか?
私にはできません。私的に使う電話帳と仕事で使う電話帳は明らかに項目が異なるでしょう。無駄なものは削り、必要なものは増やす。お仕着せの紙の手帳ならともかく自由度が高くできてあたりまえのソフトウェア電話帳でなんでそれができないのでしょうか。

カスタマイズできるデータベースソフトがない

Windowsにあるようなリレーショナルで強力なデータベースソフトではないけれどもまさしく手軽で便利なデータベースソフトが200LXには搭載されています。
カスタマイズもわかりやすく簡単で扱え、この形式でのデータがFHPPCのライブラリにもたくさん蓄積されています。もちろん個人で色々なことを手軽にデータベースにしている人は多いです。

Jornada680にはPocketAccessがあるそうです。どの程度の機能かは分からないのですが、LXのデータベースよりは良い物であると願いたいです。
ただ後述するP-Excelが「グラフが作れない」という驚くような機能削除をしているので楽観はできないのですが。

PocketExcelはある

JornadaというかWIndowsCEのウリとしてあるのですが、Excelとしては非常に機能圧縮されているものの、搭載されています。
基本的に数式をメモ代わりに入力してちょっと計算する用途には十分でしょう。
もっともこれでビジネス用途として使うに耐えるかははなはだ疑問ですが。

豊富なDOSソフトが使えない

近年はすでに質量ともに膨大な量のWindowsソフトが開発・発表されており既にDOSソフトを圧倒しています。しかもWindowsでは一部の特殊な物を除き、DOSソフトも使えますからWindowsの優位性は他を寄せ付けません。
しかし同じWindowsの名前を冠しながらWindowsCEでは全くそのような状況ではありません。
現在、実用に耐えられるエディタはWZEditer for CEだけのようです。
日本語FEPはIME、そしてようやくATOKがでようかというところです。
秋葉原の店舗でさえCEのソフトは駅すぱぁとぐらいでしょうか。
さて、HP200LXとくらべればWZの前身であるVzエディタが使えます。
日本語FEPはWX2(MSIMEはWX系です)、ATOK8は動き、他にもKatanaなどのDOSのFEPが使用できます。
駅すぱぁともLX用にあります。
これではLXの現行ソフト〜DOSソフトにもはるかに劣っているのが実状ではないでしょうか。
HP200LXはHP社のみの販売でありながらDOSソフトが使えたからこそ、その製品寿命は現在にいたっても現役でありつづけています。
DOSは過去の物などという人がいますが、一度開発されたソフトが時間によって自然消滅するわけではありません。使いたければ使いつづければいいだけのことです。

WindowsCEに将来はあるのか?

十分なソフトがいまだにない!

WindowsCEは最近でたばかりのOSではありません。もう何年もたっているのです。それでもこの状況なのです。市販ソフトをお店でみたことがありますか?CEのオンラインソフト集のようなCDROMをみたことがありますか?
DOSやWindowsならもういいっってほどありますが。CEはまだまだ程遠いというところでしょう。
時代を振り返るとWindowsソフトがではじめたころはDOSとの併用がほとんどでした。必要に応じてWindowsを起動してその上でWindowsアプリを使う、という形式をとっていました。そして徐々にDOSを使うことで資産を継承させつつWindowsのソフトを充実させていき今日の地位を築いています。
それにはもう10年近くの年月を必要としているのです。それでもまだDOSが必要とされる場面が多々あるのです。WindowsだってまだDOSに代わりきれるものになっていないのです。それなのにDOSに頼ることができないCEに代替えができるのでしょうか??

ソフトの完成度が低い

私はWindowsCEのソフトを作ったことはないので推測の域をでませんが、あえて推測をしてみたいと思います。
ソフトの完成度が低いのはいくつかの理由が考えられます。
・WindowsCEに対するスキルが足りない。
単純な経験不足です。ある特定の機器向けのソフトを十分に作れるようになるには時間がかかるということもあります。GUIプログラミングには基本的に経験と時間がかかるものです。そしてプログラムの本質的な処理にかけられる時間が少なくなります。時間は有限ですからいきおい本質部分の完成度が低くなります。
これは初心者に対するハードルが高いだけの話で良い教本やノウハウがたまってくればある程度は解決される問題であると思います。
・OSの不具合が多くバグに悩まされつづける
ソフトが一通りできればデバッグ作業、使用をはじめます。まず、なんらかの不具合が生じます。そのとき、どうも再現性がない、他の特定アプリが動いていると不具合が起きる傾向がある、ある特定の人の環境で不具合が起きる、などの現象が起きると頭を抱えることになります。追っていった挙げ句にWindowsのカーネルのバグだったりするともうヤルキがなくなるでしょう。すでにWindows95・98では時々指摘されていることです。同じことがCEにも起きるでしょう。
また、一般ユーザーソフトならともかく、Microsoftのアプリの動作が不安定だったり、さらにOSのサービスの不安定さや不具合が多く報告されています。
この事実をみるとOS自体に不信感を持ってしまうのは当然でしょう。
・開発環境が高価である
Microsoft Windows CE Toolkit for Visual C++ 6.0は27,800円だそうです。
これはVisualC++forWindowsのアドインソフトであるのです。
しかも
Microsoft Visual C++ 6.0 Professional EditionまたはEnterpriseが必要なのです。安いほうのプロフェッショナルエディションでインプレスダイレクトで80,200円もするのです。(オープンプライスです)
しかも当然のようにWindowsNT4SP3以降かWindows98以上である必要があります。

つまり1からやるにはどうみても10万円は優に超えるわけです。これではちょっとソフトを作って遊んでみようか、っていう感じには到底なれません。
それなりの気合と元を取れるという確信があってこそはじめて作ることができます。いくらなんでも敷居が高すぎやしないのか、と思います。
(註:元をとる、とはシェアウェアで回収するという意味だけでなく自分で使うとしてもそのメリットがあると判断できるという意味)
さて、一応VisualBASICは用意されていますが、私がWindowsで作ったことのある経験から言うと実用に耐えるソフトを作るにはそれなりの制約とテクニックが必要です。またBASICとはいうものの独特の拡張があり慣れるまでつらいものがありました。独特であるがゆえに覚える気力がでずに結局途中で放棄しました。
また、これも同じくアドインソフトであり、Windows版VBに加えてCE用のアドインが必要となっています。
VisualBASICというのは手軽さがウリだったと思うのですがなにか違うような気がします。


これでもまだ言葉であらわせない感覚的な拒絶もあります。自分を殺しつつ譲歩しているところもたくさんあります。また、書きあらわせないもやもやが残っています。

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