ウナギ大回遊の謎

著者:塚本勝巳
製作日:2012年6月13日

私が子供の頃、ウナギの産卵や幼生時の様子は生物学の中でも代表的な謎とされていた。
ウナギのライフサイクルの中で、分かっているのはいわゆる沿岸で獲れるシラスウナギの状態からで、そこから川に遡上して成魚になるところぐらいしかわからなかった。いや、それすら分からないことが多いと言われていたぐらい謎だらけのウナギといわれていた。

この本は、産卵、孵化、幼生時の解明調査が行われてきた過程について、実際にそれを行ってきた研究者のひとりが記したものである。
年代としては2010年前後あたりになる。
「そういえばどうなったのだろうか」
最近テレビで、人工池でも比較的自由な(養殖場のような密飼いではない)飼い方であればオスばかりにならずメスもある程度同比率で発生する、という話があったから、関連して気にはなっていた。(ウナギは密飼いされるとオスばかりになるということは有名な話である)。

そんな中、この本を見つけたので読んでみた。
既に産卵された卵や、産卵に来ているウナギの成魚も捕獲されているという。これは長年謎とされていた産卵場所が特定されたということでもある。
鮎の回遊から始まって少しずつ解明されていく過程が時系列と共に説明されていく。
これだけでも「おお」という感動すらある。

科学というのはこういう積み重ねで少しずつだよな、と改めて感じ入る。
最近は技術さえもどこからか買ってくるとか下請けに出すとかパクるとか即席で短絡的に得ることをせず、打算的な理由ばかりで進められる。
結果的に自分で考えることを否定される事も多い。

もう6年以上も前なのに知らなかった不明を恥じるものでもある。
子供の頃はこういう話は大好きだったのに、大人になってからどんどん興味を持てなくなっていることに気がつく。

この本の難点は、学者さんが書いたわりには易しい書籍だが、それでも専門用語やらで難しいかも知れないというところだろうか。
私はあまり気にならなかったし、テンポが悪くなるので解説が入るのも面白くは無いからこれぐらいの方は良いとは思った。
まあ、分からない用語があればググれば良い時代なんだからとも言えるかも知れない。
自然科学 | - | -