日本型組織の病を考える

著者:村木厚子

厚生労働省 課長時代に「誤認逮捕」されて一躍有名になった「あの人」です。
これも、というか、検察の「でっち上げ」「証拠捏造」によって逮捕されたもので当時はかなり話題になったのを覚えています。

村木さんはその後復職されて厚生労働省事務次官にまでなり、現在は定年退職されて現在はNPOに関係したり、客員教授や外部取締役をされているようです。

この本は村木さんが書かれたというよりは、寄稿記事を大幅編集して本にしたものであり、タイトルとはちょっと離れてしまっているように思います。
これは村木さんがどうこうではなく編集者(出版社)の責任のような感じの本です。

とりあえずタイトルについては追求しない方が良いでしょう。
その部分はややとってつけたように見えます。
しかし断片的な内容ではありますが基本的に興味深い内容がたくさん書かれています。

村木さんはいわゆる東大官僚ではなく、高知の地方大学出で、最初は地元県庁就職で良いかと思っていたが、ためしに受けた国家公務員試験に受かってしまったので、という人です。
そういう人が事務次官にまで上がっており、現場も知っていて、決して驕らずトップまで行った人の視点というのは貴重です。
刑務所に入って、自分の周囲の囚人達を、厚労省役人の立場から見ると、彼ら、彼女らは決して「怖い人」ではなくて、むしろ「社会的弱者」「被害者」ではないのか、と語られています。

深掘りしているニュース番組では時々「再犯者の心理や状況」が語られますが、それらとも共通した話です。
出所しても、住むや食うにも困るのでまた戻ってしまう、という話です。

社会的弱者が陥る現実が語られます。
中学生、高校生の自殺問題があります。
家庭内暴力、児童虐待問題があります。
学校や地域に居場所を失なった少女達はどこにいくのか、と言います。
以下は引用です。
「お金がない、住むところがない、信頼できて相談できる人がいない…孤立と孤独と困窮に立ちすくむ少女たちを結果的に受け止めているものがあります。JK(女子高生)ビジネスや性風俗、AV(アダルトビデオ)のスカウトなどです」
行政やNPOが手を差し伸べる前にここに落ちてしまうというのです。
「彼ら」はまず御飯を食べさせてあげ、寝るところを用意してくれるといいます。とても優しい。
暴力や学校などでつまはじきにされ、追い出されたも同然の彼女らにとっては、もし「裏がある」と分かっていても落ちてしまうでしょう。
そういったやるせない話が語られます。
これを自己責任といえるのか、ということです。

何もできないとしても、まずは現実、事実を知ることが重要なのだと思います。
そして税金を使うべきかを考えることぐらいはすべきでしょう。

他にも色々なことが語られています。
色々考えさせられます。
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