完全残業ゼロのIT企業になったら何が起きたか

最近、この手の本ばかり読んでいる気がします。

ブラック企業の代表格、残業地獄業界として有名なIT企業での話です。
求人広告で残業ゼロと書いたらハローワークから「ウソをつくな」と怒られたという逸話まで書いてあります。
ハローワークにも「あり得ない」と思われているのでしょう。

残業ゼロにすると業績が下がると反対する人がありがちなのですが、実際にやってみるとこの会社では残業ゼロ開始から一ヶ月目で業績は向上したそうです。

長期的にも優秀な社員が入ってくる、定着(特に女性社員)してくれる等のメリットも起きているそうです。これは当然の結果でしょう。
良いことずくめで「経営戦略」であると書いています。

IT企業と言えばクライアント。
クライアントからの緊急要請に対応しないのはクライアントから怒られるのでは?と考えるのも不思議では無いでしょう。
ところが実際にやってみると確かに激怒した会社もあったそうですが、ほぼ「共感・賛同してくれた」そうです。
激怒するような会社は契約解除で終了。
もちろん緊急対応しないわけではなく役員が対応するだけのこと。
滅多に無いから緊急なので実際にはたいしたことはないのでしょう。
そもそもその緊急のために無用な負担をかける方が不合理なのでしょう。
残業ゼロに向けて最初のやり方といえば「強制帰宅」だそうです。
IT企業ですからPCの強制シャットダウンするシステムにしたとのことです。
残った仕事は管理職がやるというルールだそうです。

じゃあ管理職が残業地獄かと言えば、実際やってみたらそうはならなかったそうです。
部下だって毎度毎度上司に放り投げて帰れるような人は少ないって事なのでしょう。
考えて見れば上司が帰れないから自分も帰れない、なんてメンタリティの人が多いのですから、当然と言えば当然でしょう。

業務の都合上、残業やむなしの状況でも、社長が曲げない、特例を作らない。これが重要だそうです。
「なし崩しでいつの間にか取り組みが無くなった」
これはよくある話です。
これが繰り返されると従業員達は「上がナニカやり出したけど、そのうち飽きるだろ」と高をくくり出します。
改善取り組みだけなら良いのですが、基本業務はもとより、新規開拓の取り組みなどでこういう意識になると確実に破綻します。

もちろん、個々の従業員の仕事のやり方も変えねばなりません。
その取り組みとして以下のことが書かれています。

1.仕事の見える化
2.仕事を無くす
3.仕事の自動化
4.仕事の標準化

これらは業務効率化でもよく言われる話です。
でも、できていないのが実に多いのではないでしょうか。
私の勤務先でもやろうとはするのですが、まともにできていません。

上層部が思いつきでやっても継続しないから定着しないのです。
きちんとやり方を決めてやらないから意味が薄いのです。
意味を分かってやらないから、意味をなさないのです。
もっと言えば、効果確認(測定)をしたことも無いのです。

自動化、というのはIT企業ならではともいえますが、これは定型化と考えれば良いのです。
定型化してアウトソーシングする、バイトにやらせるというのも手です。
メリットがあれば外注してシステムを作らせても良いわけです。

システムが無くても定型化すると何も考えなくて出来るようになります。
体調が悪いときや気が乗らないときはこういう定型業務を片付けると楽です。
細かいところですが、こういうところでも全体の効率が上がるのです。

標準化というのは定型化と似ているように思いますが、異なります。

標準化というのは属人化させないということです。
誰かにしかできない仕事、にしてしまうと、その人にたまたま業務が集中する程度で容易に破綻します。
標準化して誰にでもできる仕事にしてしまえば、誰か手空きの人に振れます。(先の「見える化」で上司が采配をすれば簡単な話)

しかし標準化ができていない事例は実に多いでしょう。
それは“実際はたいしたことない仕事なのに自分しか出来ないと勘違いしている”ということが多いのです。
“これができるのは私だけ”“この仕事は自分の存在意義”とかいう意識すら感じているようで、仕事を手放そうとしないのです。
大袈裟に言えば“仕事を取り上げる”ぐらいでやらないとダメなのでしょう。

そういう意識の人はその仕事をわざと難しく複雑にしていることすらあります。
手放さないこと自体が非効率的な実態が多いのではと思われます。
本来の考え方は、さっさと標準化して手放し、もっと創造的な仕事をやってもらうのがその人・会社の双方にとって良いはずなのです。

これはIT化でも言えます。
IT化、自動化すると仕事があっさりしすぎるためか、面倒なシステムである今のやり方が良いのだとあれこれ理由をつけて主張するのです。

この本では仕事の事例を挙げて「どこのプロセスをバイトにさせられるのか」逆に言えば「どこのプロセスに真の価値があるのか」を見極める作業でもあるということを説明しています。
そのポイントを明確にしておくと、自然とそこに注力するように仕事をするようになるのは当然でしょう。

これらの取り組みが、残業ゼロという目的と共に、業績向上の一助になっているのは容易に想像出来ます。
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