コンポーネント信号は何者?

なぜ最近コンポーネント端子、もしくはD端子というものが着目されてきているのか、それについて解説する。

映像信号の基本的考え

色といえば3原色というのが思い浮かぶだろうか。
すべての色は赤、青、緑の合成によって表わされるという考え方だ。
赤、青、緑のそれぞれの色の強さ(光の量)の比率によって色とその明るさがきまる。
電線には光の量を伝える事はできないので電圧で置き換えて伝えることになる。

これがRGB信号の考え方でまさしくパソコンで行われている方式になる。

また、欧州ではRGB信号形式もある程度普及しており、日本ではその昔「マルチメディア端子」という名称でついていたり、最近ではSONYの一部のTVにおいてRGB端子(Playstation端子)としてついている。
この方式の欠点はRGBと同期信号で合計4本の信号線が必要であるということにある。
そのために端子がでかくなることになる。

色差

明るさ(Y)、赤み(Pr)、青み(Pb)の3つの要素で分解する考え方である。
R,G,Bとはある変換式(計算式)で求められる。
例えば概算であれば Y=0.6G+0.3R+0.1B となる。

このようにするメリットは何か、といえばユーザーにとってはあまりメリットはない。
しかし、機器を作っているほうにとっては大きなメリットがある。
人間の視覚認識として、明るさと色相で捉えている、という考え方がある。
グラフィックツールを使った人ならこのような考えで色を決めるという考え方も分かりやすいと思う。
実は明るさにはわりと敏感であるが色の判別はわりと鈍い、というのがある。
そのことからPrとPbはYに比べれば少々はしょっても問題ないということである。
例えばYの2回の変化につきPrとPbは1回で良いとしてもそうそう判らない、 Yは256段階で処理してPrとPbは64段階で処理してもほとんどわからないなどという利点がある。

この方式の場合、同期信号はYに含まれるので3本の線が必要である。 コンポーネントケーブルは3本の線が一体化するものになり取り回しが面倒だったり、3本分の差し込みジャックが必要だったりするので高級機種でしか存在していなかった。

D端子

コンポーネントでは3つのジャックを並べると場所をとる、それならばひとつのコネクタにしてしまえ、ということのようだ。もちろん接続間違いもなくなる。
それにしてもなんでDなのかは謎である。デジタルでもないんだけれども。
また、D端子では接続相手がどのような信号形式かを認識する。

S端子

信号ケーブルは外見上は一本でその先には4本のピンが出ている。
そのうち2本はGNDで、1本はY信号、1本はC信号である。

Y信号は既に説明したとおりで、C信号はPbとPrとを周波数的に混合したものである。
周波数的に混合と言うのは説明するには高等数学以上の素養が必要となるので省略するが、 混合と言う事はそのあとに分離するとき、これがなかなかやっかいなことになる。
波形のちょっとした歪みがそのまま色ずれに直結する。また、この信号を作り出したところと受ける所との相性も生じる。
しかしながらY信号(明るさ信号)は独立して忠実に送られる。
色信号にしても前述したように色はわりと認識が甘いのでこれでもかなりの画質を得る事ができる。

ビデオ信号

さらにYとC信号を周波数的に混合する。
信号線としてはこれで一本になる。
こうしてようやく電波にのせて運ぶ事が出来る。
つまりTV放送のことだ。(音声も一緒に混合しないといけないが)
この方式にはざっくり分けて3つあり、NTSC、PAL、SECAMと言う。
だいたい日本とアメリカはNTSC、欧州はPAL、東欧やロシアなど共産圏はSECAMであるという感じだ。

一本になったというメリットは大きいが、実はこれの分離は実に厄介である。
複合さえた信号を分離するのはYC分離といわれ非常に難しい。
どのくらい難しいかといえばここに技術力を問われTVに関する発展の歴史の一面ともいえるくらいだ。
また、高級ビデオなどでも高画質のためのウリの一つとして長らく存在していた。
前述したように3方式が存在していることから決定的な方式が存在しないということもその理由の一つであろう。

それぞれの形式で話が異なるのでNTSC方式に限定して考える。
周波数的に混合する、と述べたが、具体的には3.15MHzまでをY信号に使い、その上にC信号を重ねあわせている。
このため、本質的に3.15MHz以上のY信号は存在しない。
ここに映像信号の解像度(細かさ)の限界が存在する。
さらにいえば事実上、この境界でばっさりと分離は出来ない。
もっと悪いほうで切るしかないのだ。
なるべくキレを良くし境界に近いところでできるように設計することは課題の一つであった。
また分離のしかたでもいくつかの方法がある。
かなり効果的なのが3DY/C分離といわれる手法がある。
しかしハイエンドのものにしか採用されないということがあった。
それはひとつ前のフィールドを保持しておかないといけない、つまりデジタル化してメモリに保持し処理しなければいけないということがある。 これはメモリの高かった時代には相当な回路コストの上昇になっていた。
近年ではメモリは安くデジタル化のコストもさほどではなくなってきているのでそこそこの機種にも搭載されてくるだろうか。
もっとも通常のTVやVTRは低価格競争でどうしょうもないので採用されないかもしれないが。

なぜいまD端子・コンポーネントなのか

DVDの台頭とともにいわれているのはいうまでもない。
通常のTV放送やVTRではNTSC方式であり、S端子にしたとしてもさほどメリットはない。
元が悪ければどこまでも悪い。
まぁ、良く言えばVTRで3DY/C処理が出来てTVにS端子でつなげばよくなる、ということはあるだろうか、という程度ではないか。
LDではYCで記録されているからS端子で接続すれば十分ということになる。

ところがDVDではMPEG2方式で圧縮されているのだから話は違う。
この場合S端子やビデオ信号にした時点で画質は悪くなる。
またゲーム機なども同じである。内部処理ではRGBであろうからそれを内部の回路で変換して出している。

S端子というのは結構昔からあるのだが上記のような理由もあってあまり必要とされていなかったようだ。
ほとんどの消費者にとってはTVを見るかVTRにしてもVHS形式でしかも3倍でも十分受け入れられるのであるから、S端子さえも必要ではない。
ゲーム機にしてもビデオ信号レベルで良いような細かさを前提として、ハード、ソフト共に作られていたと思う。ファミコンでみられたようにでかい文字でひらがなだけというのはその例といえよう。
ところが最近のゲーム機では漢字など細かい文字がでていたり、遠くのものをきっちりと書いていていたりする。PlayStation2やDreamcastでは特にそうだ。
これらを見た時にビデオ端子で気になるレベルになっている。
縦線がなにかゆらゆら揺れているのが見えると思う。これは俗にクロスカラーといわれるもので上記のYC分離を単純に行った場合には原理的に生じてしまう。
これを試しにS端子でつないでみるとこれが消え、すっきりとした表示になる。
話は戻ってこれはDVDでも同じことだ。

だからこれらの場合はせめてS端子でつないでやってほしい。
Playstation2ではコンポーネント出力もあるから対応TVではぜひともそれで接続して欲しいものだ。

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