デジタル地上波が始まる

やるのかやらないのかはっきりしていなかったデジタル地上波放送だが、どうやら試験放送をはじめて切り替わり時期までいつのまにやら決まってしまったらしい。
まあ、私のような小市民に断りをするようなものではないからあたりまえであるが。

お役所の一方的横暴?

電波管理を行っているのは旧郵政省。つまり現在の総務省となる。
そこが旗振りをしているらしいのだが、NTTの問題を含め、うさんくささが見え隠れすのがどうも見え隠れする。
まぁ、それはいわないでおくにしてもどうもいろいろと一筋縄ではいかないようだ。

地上波をデジタルにする意味とは

くしくも今日、ラジオ番組でお役所の下のなんたら協会の人が説明していたのだが、
「デジタル新時代の推進」という国策だからデジタル化するのだ、という説明をしていた。
正直、話を聞いていて全く理解が出来なかった。
アナウンサーの人もどう反応をして良いものか困惑した感じで「いままででも十分だと思うんですが・・」といった質問にも、その協会の人はその意を汲まずに(わざとかもしれないが)ずれた解答をしていた。
なんともふざけた話である。
別に誰も欲しいとも言っていないのを勝手な国策とやらで推進するのは一方的もはなはだしい。
企業で言えば消費者無視の論としかいいようがない。
企業のものは独占企業や公共企業で無い限りは買わないことで終わりだから構わないのであるが、これはそうもいかない。
そもそも、デジタル化というのは必要であってメリットがあるからこそ推進するのであり、逆に問題をひきおこすのに推進するのは全くの間違いであろう。
これは非常に悶着を起こしている住民基本台帳問題にも通じる。
と、批判ばかりするのもなんなので具体的にメリット・デメリットを列記してみよう。

画が綺麗になるか

これは概ね綺麗になるといえる。
一番はゴーストがなくなることだろうか。ゴーストというのは人物などが何重かに見えてしまう現象で、電波の干渉によって引き起こされる。ビルや高層住宅が近くにあったり、山間部などでもおきやすい。
日本の場合、都会であろうと田舎であろうと殆どどこでもおきうる可能性が高い現象なのだ。
従来ではこれの除去のためにゴーストリダクション(キャンセラー)機能のついたビデオデッキなどがあるくらいで、多かれ少なかれどこでも発生しており、全くゴーストがないというほうが珍しいくらいである。
初めてアナログBSが登場し、その画質の違いでもよくいわれていたのがこれによる画質の違いであろう。
BS、つまり衛星から電波が到達するために原理的にゴーストが起こりえないということがある。
地上波デジタルではデジタル符号化されて電波に乗せられて伝送されるためにこれも原理的にゴーストが起きない。
ただし従来ゴーストが非常に激しい場所では状況によりブロックノイズとして現れることになるかもしれない。
例えば現在放送されているデジタルBS放送でも雲が厚く強い雨が降っている場合には、これらに電波が吸収されてしまい、ブロックノイズとして現れる。(実際には私自身は一度しか経験したことはない)
一つは精細度である。他のコラムでも何度か話題にしたように、現在のアナログ放送方式、NTSC方式では3.56MHzの壁がありこれは原理的に超えられない。この制約はなくなる。ただし、外付けチューナーで見るときはあまりかわらないかもしれないが。
実際始まってみないと評価は出来ないが、いわゆる難視聴地域とまでいわなくとも電波が弱いと従来ではどんどん画面が揺れたり色がずれたりぶれたりしていくが、デジタルであればある限界値までは綺麗に写る。しかしながら限界値を超えればブロック状になったり動きがぎこちなくなる、という現象になる。(上記のゴーストと同じことである)
さらにいうと色位相のずれ、色にじみ(クロスカラー)という問題も画面を汚くしている原因であるが、これもデジタル化によってほぼ皆無となる。
単純な話、DVD画質で伝送されてくると考えればよいのだと思う。
ただし現在ではビットレート(情報量)がいくつであるのか明言されておらず(少なくとも公式には見つけられない)DVDといってもピンキリであるのでなんともいえない。

視聴者参加型、らしい

デジタルBSでもやっている視聴者参加型放送ができるようになるとのことである。
私は全く興味が無いが。
理由の一つとしては参加自体がかったるいというのもあるし、ひとつは電話をいちいち繋ぐというやり方が納得いかないというのがある。詳しくは話が大きくずれていくため後述するので次に行く。
現在では主にプレゼント番組をやっているようだ。ポイントためてプレゼントという制度や懸賞番組などのようだ。

番組数が増える

これはメリットがいまひとつわからない。
デジタルBSで行っているが民放各社では持て余しているとしか思えない。
1放送局で3つチャンネルを持っているが3つとも同じものを流しているのが現状である。
(WOWWOW,スターチャンネルでは活用しているようだ)
現在の地上波でも放送局も持て余してしまうのではないか。

細かいところ

字幕対応されるということらしい。
デジタルBSからの類推だが、字幕をTV側で挿入することが可能なため、字幕入切や言語を選べるようになるのだろう。
つまりはDVDでやっていることである。現在DVDでできるマルチアングルなどもしてくるかもしれない。
5.1ch(AAC3?)も可能とするだろう。

となると

一体デジタル地上波ってなんのためにあるんだろうか、というのが改めて疑問になってくる。
確か放送はいわゆる従来の地上波画質(NTSC)からハイビジョンに移行していく、という話もあったはずだ。
そのためにデジタルBSにして民放各社にチャンネルを割り当てて放送をしているはずだ。
そして放送局も徐々に地上波からハイビジョン放送に軸足をずらしていく、というシナリオではなかったのだろうか。すくなくともまずは画質向上を望む層にはそこで対応するのではなかったのか。
そして技術の進歩で受像機の値段差がどんどん縮まることでハイビジョンに移行していき、地上波は徐々にさびれていってある時期で放送をやめる、ということではなかったのか。
まあ、現状のデジタルBSの現状をみてのことかもしれない。
しかし、ここでハイビジョン発展の経緯の話が頭をよぎる。ハイビジョンの推進に当たっては表向きはNHKであったが、官庁としては当時の通産省と郵政省が推進していた。協力してならよいのだが「ハイビジョンの日」を両省で別々の日を表明するなどどうみても仲が良いとは見えなかった。機器の開発に関して特にメーカーとの協力が必要であったためか通産省のほうが発言力が強くなっていったのかもしれない。どうもそのころの郵政省がちらついてしかたがないのだが。。

実は電波の移行というのがあるらしい。

デジタルへの移行に関して大きな問題があって、実はデジタル放送をするための電波の領域がないらしい。
そのために、アナログをすこしずつずらしてあけなくてはいけないということらしい。
試験放送が始まるまでに各家に通知をだして変更をお願いするということだが、考えてみればはなはだ迷惑な話である。
つまりぼーっとしているとある日からTVがうつらないということになる。
殆どの場合、テレビの設定をかえる(いわゆるチャンネルプリセットを行う)必要があり、場合によってはアンテナを取り替えるという処置が必要らしい。
その際には補助金が出るが・・・って結局税金じゃないのかという批判は否めないのではないか。
まあ、その程度は我慢するとして問題は単なる移動なら良いのだが「詰める」ようなことになるとチャンネル間の干渉が強くなるのでアナログ放送のほうの画質の劣化につながるのではないのか。

デジタル時代といいながら

デジタルBSの話のときはさらっと流したが、双方向システム(視聴者参加形式)が同様に採用されるらしい。
そのことを強調していたが相変わらずアナログ電話に接続するらしい。
ちなみに調べたところ、(興味が無かったので知らなかったのだが)デジタルBSの場合で電話代は一分で10円だそうで、基本的に送信が終わると自動的に切れるので10回送れば100円ということになる。
20問答えるクイズ番組だと200円かかるということになる。
まぁ、高いか安いかは人によりけりだが、私にはやる気は無いとだけいっておこうか。
実はちょっと考えれば、システム的にもっと本質的にまずい問題がある。
普通の家庭なら例えば一家4人、電話回線が1つとしよう。
お兄さんがクイズ番組をはじめて結構どんどんランクがあがって商品がもらえるかもしれない、となったとしよう。そこに妹さんに友達から電話がかかってきていつもの長電話が始まったとしよう。
そうすると当然電話発信ができなくなるのでクイズ番組への参加は不能となってしまう。
果たしてその先には兄妹喧嘩が待っているのだ。
これって無理な想定だとは思えない。
これに対して「デジタルBSのWebページ」では笑える(いや笑えないのだが)ことにISDNに加入して複数回線にしてください、と書いてある。
お父さんがADSLをいれて持ち帰り仕事にも活用していたらどうするのだ。そもそもISDNよりADSLのほうが安い場合もある。
このようなことがないようにデジタル化でADSLなりのデジタル情報回線を確保し、それを共有してアクセスしたりネット電話(IP電話)をしたりできるようになる。これがデジタル化・ネット化のメリットではないのか。
それを一本のアナログ電話回線を取り合うなんてアナログでアナクロな時代そのままではないか。
まぁ、いまどきケイタイ電話持ってないほうがおかしいという論にしておいて、電話の取り合いはないと仮定しよう。
しかし、それでも問題は収まらない。
いまどきTVは一家に一台から一人に一台の時代だ。
つまりはTV同士での回線のとりあいとなる。
では一つのTVに一回線を用意するのか、というはなしになってしまう。
これは随分と無茶な話である。一回線増で数百円程度ならともかくとして一回線毎月数千円を超えるのだ。
数円の違いでスーパーの特売を活用してやりくりしている一般家庭でこんなことはありえない。
いまどきお茶の間に一台だけTVが置いてあって一家団欒で囲ってみているなどという時代は既にはるか遠く、一人一台の時代にとっくになっているのだ。
お役所はまさかこんな大昔の家族を想定しているのだろうか。
アナログ電話線は手軽に誰にでもだから、などというふざけたことをいっているが、所詮、その先には破綻しか待っていないのだ。

本当にデジタル国家をめざすのなら

いわゆるネットワーク回線を全家庭に引くというのが国家目標だったと思ったのだが。
ネットワーク回線を持つことを奨励するのではなかったのか。
手段はADSLなり、FFTHなり、CATVでも構わないから常時接続をということではなかったのか。
それならばチューナー(TV)にLAN端子を設けて接続できるように推進するべきではないのか。
どうしてもダメならダイヤルアップモデムをオプションで用意するぐらいで良いのではないのか。
モデムといってもおそらく一万円しないのではないか。
そしてネットワーク回線を引くのをデジタル地上波放送をきっかけとするのならそれこそ国策という理屈が納得ができる。
誰にでもつかえる、とかいう論理でアナログ電話回線に繋げるのを基本とするのではなく、あくまでLAN端子を基本としてしまう。電話回線も無視はできないがそれはあくまで主流でないという位置付けにする。
時期早尚という論もあろうが、デジタル国家というのは、目指すは日本全家庭ネットワーク化ではないのか。
もちろん、普及のためには低価格化が必須である。回線業者の努力に期待するのは当然として、その料金を下げられるように基本的に回線を持つNTTに対してなんらかの法規制、指導をすべきである。実はむしろそれに逆行することをやっているというスクープ記事がでるくらいでどうもうさんくさい。
もう、NTTが主役である時代は終わりである。そのことをまず断言すべきだ。
NTTは通信業者のひとつに過ぎないということをもっとはっきりさせるべきだ。だからこそ回線の独占に対してNoをいうべきだし、それこそ国家が買い取って占有させない公共物にするぐらいでもいい。すくなくともNTTのどんぶり勘定で金額を決めてしまい従わざるを得ない現状はおかしい。
現在の水準(値段など)でも基本料金は高くなってもIP電話のメリットを全面に押し出せばむしろ受け入れられる可能性は多いに秘めていると思う。なにせ遠い実家にいくらかけても只というだけで飛びつく主婦も多いのではないだろうか。
それがデジタル化の目に見える大きなメリットのひとつである。
デジタルテレビの情報量など微々たる物で上記で長々と書いた回線のとりあいなど笑い話にもならない。
それが国家の大局的な政策と言うものだ。
なおもアナログ回線を使わせよう、というのは、よもや旧来の電話業者となにかの結託があるのでは?と勘ぐられても仕方ないよう思う。
(ちなみにデジタルBSでは料金請求がくるのはKDDIだそうである)


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